Message from the CEO: President & CEO  Hiroshi Suzuki

2016年度の振り返り

2016年度は、会社の本質的な事業活動に直接起因しない外的な逆風にさらされました。1点目としては、4月に起きた熊本地震により、現地の工場が被災、結果的に同工場を閉鎖し、これに係る生産能力の海外移管を余儀なくされました。2点目としては、為替変動の影響により、売上高、純利益ともに打撃を受けたことが挙げられます。

しかしながら、これら外部要因の影響を除けば、全体として満足のいく成果を上げることができたと考えています。情報・通信事業における安定したキャッシュ・フローと、ライフケア事業における成長という、当社が目指す方向に沿って進むことができました。今後、こうした取り組みをさらに加速させてまいります。

中期的見通し

今後も事業ポートフォリオの改善に継続的に取り組む必要があり、特に、今後の成長をけん引する力強いドライバーが必要であると考えています。

過去に行った大規模な設備投資の償却が段階的に終了していくことなどにより、収益性は今後改善していく見込みです。戦略的な投資は、将来の健全な収益性の実現につながっていくと考えていますし、成長のために収益性を犠牲にすることはありません。

私は常々、健全なキャッシュ・フローと収益性を経営において最重要視しています。今後も、成長投資を行っても余りある資金を創出することができると考えておりますし、株主の皆様に対して継続的にキャッシュを還元していく所存です。健全なキャッシュ・フローこそ、HOYAのさらなる成長とサステナビリティにとって最も重要であると考えています。

ガバナンス

豊富な企業経営の経験を持つ社外取締役が、当社の業務執行を多面的に監督する役割を担っています。近年、日本では、複数名の社外取締役を選任する動きが高まっていますが、HOYAでは、2003年から社外取締役制度を他の日本企業に先んじて導入しています。当社のガバナンスは社内における取り組みに加え、取締役会の8割を占める社外取締役の存在により成立していると言えます。

私を含む執行役および各事業の責任者は、事業計画や意思決定の内容に関して取締役会への説明を求められます。これから実行しようとしていることが、短期のみならず長期的にも客観的に見て合理性があることを説明できなくてはなりません。取締役会おいては、企業価値向上の観点から社外取締役から様々な質問が投げかけられ、また活発な意見が出されます。こうしたプロセスを経ること自体が会社にとって価値があることであると認識しています。

グローバル経営について

企業のサステナビリティおいて、事業を日本にとどまらず、グローバルに展開していくことが欠かせません。当社は、海外売上高比率が約70%で、従業員の約90%、株主の62%が非日本国籍の方々で占められており、この点においてはグローバル企業と言えますが、マネジメントのグローバル化という点に関して課題意識を持っています。「グローバル経営」は、まさに「言うは易く行うは難し」であり、マネジメントのグローバル化に関しては、まだ多くの課題が残されています。新たな市場の開拓や既存市場を深耕していくにあたって、商慣習の違いや多様性などに対応するため、従来とは異なる経営スキルや組織の柔軟性が求められる一方で、首尾一貫した仕組みの構築が必要となります。当社は、今まさにこの課題に取り組んでいるところであり、真の意味でグローバル化を実現するためには、この点を引き続き強化していかなければなりません。

経営哲学

第一の原則として、自身を変えることができる柔軟性を持ち続けることが挙げられます。自社の事業ポートフォリオが適切な時期、適切な場所に存在することが重要であると考えています。間違ったビジネスに取り組んでいては成功は困難なものとなり、一方で適切な時期に、適切な場所でビジネスを行うことができれば成功を導くことができるでしょう。

第二の原則として、優位性を持つ分野に注力することです。競争優位性がなければ、戦略の優劣に関わらず、成功は難しいでしょう。逆に優位性を持つ分野に注力さえすれば、戦略が多少見劣りしたとしても、着実な成果が上げられると考えています。優位性を明確にして全力で取り組むということが、当社の築き上げてきた企業文化、メカニズムであり、ライバルに打ち勝つための武器になります。そして、優位性を推し量る最良の方法は、収益性であると考えています。事業を製品別や市場別などの小さなセグメントに区分し、そのセグメントごとに収益性を測定することで、優位性を明確にすることができます。そして、収益性をしっかりと上げている分野に注力していくことで、真のグローバル企業を目指すことができると考えています。

最後に、最も大切な原則は、あらゆる点で当社が真に持続可能な企業となることです。当社の長い歴史において、微力ながら貢献できていることを嬉しく思っています。

代表執行役 最高経営責任者(CEO)
鈴木 洋