HOYAの成長戦略 HDDガラス用基板事業の
安定性

成長分野である3.5インチニアラインサーバー市場への参入で事業の安定化を行います

MD Division プレジデント
宮本 武美

HDD用ガラス基板事業について

当社のHDDガラス基板事業では、ノートブックPC、外付けHDD、パフォーマンスエンタープライズサーバー、ゲーム機などに使われるHDD用の2.5インチガラス基板の製造、販売を主に行っており、ガラスに限れば市場シェアは100%となっています。

市場トレンドについて

2.5インチサブストレート市場は、HDDからSSDへの置き換えなどによるHDD需要の減少で、2016年が前年比10%のマイナス、2017年は微増となりますが、2018年以降は再び2桁のマイナスが見込まれています。

一方、3.5インチサブストレート市場は、デスクトップPC用途等の減少など横ばいが見込まれていますが、データセンターなどで使われるニアライン(NL)サーバー用途は、世界で生成されるデータ量の増加により、唯一2桁の伸びが見込まれています。

世界で生成されるデータ量は、2016年で16ゼタバイト(注)、2017年で22ゼタバイト、2018年で29ゼタバイトと増加の一途をたどっていますが、その一方でストレージキャパシティは2016年時点で4.6%であり、2017〜18年は3%強に留まっており、世界で生成されるデータ量の増大にデータセンターのキャパシティが追いつかず、不足する状況が続くと見込まれています。

HDDメーカーは歴史的に、毎年、新しい機種の発売とともにHDDの記憶容量を増加させてきました。従来はメディアの単位面積当たりの記録密度を増やすことでHDDの記憶容量を増加させてきましたが、それが鈍化傾向にあり、今後はサブストレートの枚数を増やすことで、HDDの記憶容量を増加させていく流れとなっています。

HDDの規格サイズは決まっているため、枚数を増やすには薄型化を行う必要がありますが、剛性の問題でアルミニウムのサブストレートでは8枚が限度であり、それ以上に枚数を増やす方法が課題となっています。

3.5インチ市場への参入について

当事業は、現在生産している直径2.5インチのサブストレートだけでなく、直径1~3.5インチのサブストレート、厚みについては0.381ミリの薄さから1.27ミリの厚さまで生産実績があり、HDD用のガラス基板であれば顧客が必要とするサイズ・厚みのものをすべて生産することができます。また、3ヵ月間で1億枚強という大量生産、同一の品質を保持することも可能です。

以上の状況から、我々は2.5インチガラス基板市場の縮小による減収を補うために、成長の見込まれるNLサーバー向け3.5インチサブストレート市場への参入を行いました。

今後の見通し

2017年より、HDDメーカー1社が当社のガラス基板を8枚搭載したモデルを開始しますが、その後数年かけて9枚、10枚と増えていくものと予測しています。最終的には12枚まで対応可能と考えており、HDDメーカー、PCメーカーなどにサンプルをお見せしている状況です。

2.5インチガラス基板の売上高は2018年度から減少することを見込んでいますが、NL向け3.5インチガラス基板の売上高は2018年度から伸びが加速し、中期的には2.5インチ向けの売上高の減少を3.5インチ向けの売上高の増加分で補うことで、2018年度以降は事業全体の業績が安定的に推移することを見込んでいます。

これとは別に、HAMRなどの単位面積当たりの記憶容量を増やす技術が展開されると、HDD1台当たりの記録容量をさらに増加させることが可能になりますが、耐熱性の点でガラス基板が必須となりますので、ガラス製品の需要増加が期待できます。

(注)ゼタ=1,0007、 エクサ=1,0006、 ペタ=1,0005、 テラ=1,0004