HOYAの成長戦略
半導体製造用マスク
ブランクス事業の成長性

EUVを含む高精度品、先端品に注力し、さらなる市場シェアの獲得を目指します

ブランクス事業部長
白杉 壽朗

当社マスクブランクス事業の強み

当社マスクブランクス事業の強みは、標準的なマスクブランクスからEUV露光向けマスクブランクスのような先端品まですべてのラインアップのマスクブランクスに対応可能なこと、量産品質の安定性、先端品の開発能力の3点にあります。「HOYAに任せれば全部やってくれる」ということが他社にはない当社の強みになっています。

先端品の開発においては、顧客との技術ミーティングを毎日のように実施しており、ミーティングで受けた要望を即座に開発部門にフィードバックをして、製品に反映させています。このスピードある顧客要望への対応が、顧客の開発スピードに遅れることなく対応するために必要とされています。以前は顧客の要望を受けてから製品出荷までに1、2ヵ月を要していましたが、体制の強化を行ったことで現在は数日で対応可能となりました。

また、品質に関しては、製品が規格内に収まっているだけではなく、規格範囲の中心に揃うような管理を行っており、顧客から当社の品質安定性について、高い評価をいただいています。当社は、日本とシンガポールに製造拠点を持っていますが、シンガポールにおいても高品質品を安定製造しています。確かな技術と優秀な現地人材により、それが可能となっています。

当社は光学ガラスの製造を長く行っており、この要素技術として研磨技術、洗浄技術、平坦な物を作る技術、その上に何十層もの成膜をするスパッタリングの技術を保持しています。これらの要素技術を、EUV露光向け製品の製造のための世の中にない革新的技術の開発に活用しています。

EUV露光向け製品の開発について

半導体回路のさらなる微細化のための次世代技術としてEUV露光技術があります。当社には、EUV露光向け製品に関する20年近い研究の歴史がありますが、ここ数年のEUV露光業界の技術革新はめざましく、2019年までが業界全体の技術革新の1つのピークと考えており、当社としてどのような開発をしていくかが重要な課題と考えています。

現在の当社の開発状況として、光露光では制御が困難なサイズの異物をEUV露光では制御できつつあります。新たな検査機の導入などにより、品質の向上を行っています。

光露光においては、6インチのブランクス製品の中で、80nm以上の異物を0個という基準でしたが、EUV露光においてはこの基準値は23nmです。また、光露光においては、ブランクス上に形成する膜は多くとも10層でしたが、EUV露光では約40層の形成を行います。これに加えて、23nm以上の異物を0個にすることが要求されています。この技術課題は容易ではありませんが、克服できつつあります。

今後も、現在の当社の優位性を維持するためには、技術の変化点を見極め、大きく技術が変化する際に変化に乗り遅れないことが重要です。顧客である半導体メーカーからの情報を俊敏に察知し、3~5年先を予測しながら活動を行っています。装置メーカーの開発計画についても同様で、装置メーカーと毎週のように打合せを実施しており、当社の従業員は世界中で活動しています。当事業の本部はシンガポールに置いていますが、従業員は本部にとどまらず、半導体メーカー、装置メーカー、材料メーカーの工場、オフィスなどで最先端の情報を確認することで、事業活動方針の立案に活用しています。

また、材料メーカー、装置メーカー、半導体メーカーとともにEUV業界の将来技術について協議を行っています。EUV業界において、当社はEUV露光向けマスクブランクス製品のパイオニアとして大きな期待を集めており、この強い期待に応えるべく、投資を含めて量産体制構築のタイミングを注視してまいります。

今後の見通し

現在、EUV露光技術を用いた半導体製造のための開発を行っている半導体メーカーは数社ですが、他社への展開はまだ時間がかかるとみています。現在、半導体の先端品が使用されるのはデータストレージ、人工知能、スマートフォンなどに限定されており、先行して開発を行っている数社でそれらの需要を賄うことが可能だからです。将来的には、それら以外の用途の半導体製造にEUV露光技術が使用されるようになると、他の半導体メーカーがEUV露光技術を用いて半導体の製造を開始するため、当社製品への需要がさらに高まるものとみています。

当社はこのような環境のもと、高精度品を含めた全製品の製造コスト削減や利益拡大を図り、高精度品、先端品の研究開発に再投資を行うことで、さらなる市場シェアの獲得を行ってまいります。